2004年 の 書 棚
2/10/05 更新


牧野二郎, "企業情報犯罪対策入門", インプレス, 2004, ISBN4-8443-1887-X(9/5/04)

目玉は"第7章 裁判で負けない「データ・フォレンジック」の手法"と"第8章 違法な「ネット告発」「誹謗中傷」とどう戦うのか"なのでしょう。実はその第7章で、(ビジネス)電子メールの証拠能力との関連から、返信時の全文引用のことに触れられています(薦められているといって良いでしょう)。



法律関係(8/30/04)
a) 不正アクセス対策法制研究会(編著), "逐条不正アクセス行為の禁止等に関する法律", 立花書房, 2001, ISBN4-8037-0915-7
b) 堀部政男(編著), "インターネット社会と法", 新世社, 2003, ISBN4-88384-057-3
c) 名和小太郎, "ディジタル著作権", みすず書房, 2004, ISBN4-622-07076-6


昨年終わりから今年前半にかけて、大きな事件が2件起きました。そして、不正アクセス絡みはの件は公判中、著作権絡みの件も9月に初公判の予定。どのような結論になるのか、いつ確定するのか、その影響は? しばらく目を離すことができませんし、気になります。

a)は、不正アクセス禁止法(俗称)の立案関係者による解説書です。ところで、"特定電子計算機"、"特定利用"ということばを同書にあるようには解釈することはできないという意見があるそうです。

著作権(法)というものを、根本的に考え直し、再構築する時期になっているのかも知れません(b-p.225、c-p.257)。

b)の12章サイバー犯罪・サイバー戦争の国際的側面は面白かった。特にインターネットでの"武力行使"についての話は。忘れてはいけない面だと思います。



結城浩, "結城浩のWiki入門", インプレス, 2004, ISBN4-8443-1915-9(8/23/04)

Wikiとは、Wikiの導入方法、Wikiの使い方、Wikiの活用法がまとめられたものです。目次を見るとそうなるのですが、単なる解説書ではなく、著者のWikiへの思い入れが伝わってくる本です。



内田勝也, 高橋正和, "有害プログラム", サイバーセキュリティ・シリーズ2,共立出版, 2004, ISBN4-320-12109-0(8/14/04)

コンピュータウイルスやワームなど有害プログラムの歴史、分類、対策などを取り上げたものです。

有害プログラムのひとつとして、HOAX(ウィルス偽情報 - あのファイルはコンピュータウィルスに汚染されているから削除しなさいという内容のチェーンレターなどのこと)が挙げられています。

ということからも、有害プログラムを技術だけで対応することは無理で、おかしいものをおかしいと感じる"セキュリティ文化"(P.153)を育くまないといけないということになるわけです。

結局、人間がポイントになるわけです(当然と言えば当然)。



船木春仁, 峰岸和弘, "「知の共有」と情報セキュリティマネジメント", ダイヤモンド社, 2004, ISBN4-478-42047-5(8/5/04)

これからは、企業内の知的財産を活用しなければ企業の発展は望めない。そのためには皆が、"知 - 情報"を共有することが必要となる。そして、情報が外部に漏れるということは、財産の流出ということになる。というわけで、情報はきちんと管理しなければならない。そのために、NTTデータではどのようなことを行ったのかをまとめたものが本書であり、それはセキュリティポリシーの策定、導入、運用、評価という情報セキュリティマネジメントのサイクル(評価の後、策定に戻る)である。

一方、世の中は垂直統合型ビジネスモデルから、水平統合型ビジネスモデルを採用することが多くなっている。つまり、一緒に仕事をするのが、他社の社員という機会が増えるということでもある。当然のこととして、そのような場では、互いに自社の情報は出したくないわけである(出さなければ、実は意味がない)。

その大きな問題がどのように解決されているのかを知りたいと思ったのですが、"グループの枠を超えた企業との情報共有については、今のところ明確な答えは出ていないということでもある。"(p.191)



情報処理用語 - 電子メール, JIS X 0032:1999 (5/9/04)

厳密には本ではありませんが、日本規格協会から発行されているので本の仲間ということにします。

実は、内容うんぬんではなく、電子メール関係の用語が独立した規格になっていたとは知らなかった、というわけです。

32.01.01で"電子メール"(electronic mail)、"Eメール"(e-mail)が定義されています。Eメールという言葉は個人的には好きではないのですが、公に認められているわけです。あと、備考で"英語のつづりには他にE mail、E-mail、Email及びemailがある"と注記されています。

さらに

32.03.05でsubjectは"主題"、題名ではないわけです
32.08.03でprimary recipientは"正受信者"、toで指定されたあて先の人(プログラムかも知れないけど)
32.08.04でcopy recipientは"写し受信者"、"二次受信者"、ccで指定されたあて先の人
32.08.05でblind copy recipientは"秘密受信者"、bccで指定されたあて先の人

などなど。



"地下"鉄本(4/20/04)
秋庭俊, "帝都東京・隠された地下網の秘密", 洋泉社, 2002, ISBN4-89691-680-8
      "帝都東京・隠された地下網の秘密[2]", 洋泉社, 2004, ISBN4-89691-784-7
秋庭俊(編著), "写真と地図で読む!帝都東京地下の謎", 洋泉社, 2004, ISBN4-89691-811-8

"東京地下鉄を探検する!", 東京人2004/5月号, 都市出版株式会社, 雑誌16725-5


始めの3冊と最後はスタンスが異なります。

しかし、分かりません。何しろ地下のことは見えませんからね。ただ、高校時代、地下鉄で、しかも、四ツ谷と赤坂見附の間を通り、赤坂見附で乗り換えるというルートで通学していたので、関心はあります。



岡村久道, "迷宮のインターネット事件", 日経BP社, 2003, ISBN4-8222-2391-4 (3/26/04)

インターネットで起こった事件と法。 しかし、はじめにもあるように"技術革新を法律が半歩遅れで追いかける"という現状。

出版されたのが2003年10月なので、最近頻発している"個人情報大量漏えい事件"は直接取り上げられていませんが、"インターネットは個人情報の宝の山"という節があり、そこに"頻発する個人情報漏えい事件"がちゃんとあります。 そして、"原因の大半は内部犯行とケアレスミス"と指摘しています。

最終章"さらなるサイバー社会に向けて"で、政治とインターネット、電子署名法、IT書面一括法(書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律)、選挙運動とインターネットなど、今後我々に大きな影響を与えるであろうテーマが取り上げられています。

また、所々にコラムが挟み込まれています。その中で"インターネット上の不正行為の大部分は、実社会の反映なのである"(p.440)、そして"実社会に関連した教育のあり方こそが、情報教育の不可欠の前提として求められているはずだ"(p.441)と断言しています。

半年後、1年後、数年後に読み返すと、どのような感想をもつのかな。 本質的なことは、たいして変わっていないと思うのかな。 そんな気が今はしています。



國領二郎, 日経デジタルコアトレーサビリティー研究会(編著), "デジタルID革命", 日本経済新聞社, 2004, ISBN4-532-31117-9(3/18/04)

サブタイトルに"ICタグとトレーサビリティーがもたらす大変革"とあります。 これからの数年,ホットなテーマとなるであろうICタグ,その目的であるトレーサビリティーを取り上げた本です。

経済波及効果が9兆〜31兆円(総務省)とあっては,止めることはできません。でも,何も問題がないわけではありません。我々の身近なところに,大量のICタグがあたりまえのように存在するようになるわけですから,そのことの意味を正しく理解しなければなりません。

しかし,最近個人情報の漏洩が頻発しています。 んーーーん...


Zimmerman,P.D. and Goldblatt,B. (中原弓彦, 永井淳 訳), "マルクス兄弟のおかしな世界", 晶文社, 1972, ISBN4-7949-5822-6 (2/26/04)

新刊ではありませんので,御注意を。

ココナッツからラヴ・ハッピーまでのマルクス兄弟の映画13作,それぞれのプロットとギャグ,そして当時の批評をまとめたものです。映像と言葉を文章にした労作(なんて簡単に言ってしまってはいけないのですが),さらにそれをこなれた日本語にしたというのが本書です。

できたら映画を先に見てから,本書を読み,また見る... DVDで"我輩はカモである","御冗談でショ","けだもの組合"は見ることができますが,他は無理ですかね。

"マルクス兄弟もまた言葉だけでなく肉体にも依存して客を笑わせていた。その肉体がスポーツマン的な活力を失ったとき,彼らのユーモアの大半が消え失せた。"(p.246)

最後に,訳者(中原弓彦)による"マルクス兄弟論をふくむ解説"があります。これだけでも一読の価値があります。

P.S.
原書が1968年,翻訳が1972年に出版されていますが,私が購入したものは1994年の12刷で、今年の1月に買いました。

2/9/05追記
マルクス兄弟の作品のDVDは何作か発売されました。3月にも発売されます。でも,全作品は揃いません。


中西秀彦, "印刷屋の若旦那コンピュータ奮闘記 Part2 ", 印刷学会出版部, 2002, ISBN4-87085-171-7 (2/26/04)

"本は変わる!"のところに書いた残りの1冊。バーチャル書店で買いました。"印刷雑誌"の1998年5月号から2001年12月号までのコラムです。

新システム導入の際のトラブルの話,"フルデジタルの陥穽",面白いですね。そのひとつ前の"OS、SOS"の最後,"OSが変わるなら変わるで、(アプリケーション)ソフトメーカーは対応をもっと真剣にやって欲しい。でなければ,一緒にOSのバージンアップに異議をとなえる運動でもやりますか?"には思わずニヤ...

ユーザサイドの話だけではなく,トホホ***に泣かされる話もあります(ハイフンと音引きの混同など。似たようなトホホなことを私もやっています。このページの中でも","と"、"が混ざっていたりします。


青木日照, 湯川鶴章(国際社会経済研究所 監修), "ネットは新聞を殺すのか - 変貌するマスメディア", NTT出版, 2003, ISBN4-7571-0110-4(2/20/04)

新聞*紙*を発行する新聞社の話ですが,それだけではありません。インターネットでの報道(情報?)産業の話ということになるのでしょうか。産業ということは,利益をあげなければなりません。そこで,インターネットを使った広告の話が出てきます(私はそういった話に興味を持ちました)。さらに,今年あたりから本格的に話題になりそうなICチップのことも出てきます。


杉光一成, "理系のための法学入門 - 知的財産法を理解するために", 法学書院, 2003, ISBN4-587-03435-5 (2/16/04)

法律の基本概念の勉強をしたいと思っていたときに,書泉でみつけた本です。もちろん,この本1冊を読んだだけで,法学入門の単位を取得した気になってはいません。まだまだ,先が長そうです。

よく"公序良俗"といいますが,辞書を引いたことはありませんでした。"公の秩序,善良の風俗"だったのですね(p.64)。



Lang,F. and Bogdanovich,P. (井上正昭訳), "映画監督に著作権はない", 筑摩書房, 1995, ISBN4-480-87302-3 (2/11/04)

実は池袋のジュンク堂で"著作権"という言葉が目に入って買った本です。

要は、監督の意向とは無関係に、プロデューサーが作品に手を入れたり(p.119, 158)、一部が他の映画に流用されたりする(p.151)ということです。

一方、p.170で、自分の作品中の一場面のシノプシスが、他の映画で使われることについて、"もし誰かが私の作品の中で何か使えそうなものを見つけたなら、それは私が幾人かの心をつかんだということの証明に他ならないからだ"として許容しています。

手元の記録を調べてみると、Langの作品では"メトロポリス"を見たことになっているのですが... 。ただ、オリジナルではなく、後からカラー化したものだったような気がします。


中西秀彦, "本は変わる!", 東京創元社, 2003, ISBN4-488-02377-0 (2/6/04)

5冊目の中西秀彦本。私としては4冊目。残りの1冊はどうやって手に入れようか? リアルの書店か、バーチャルの書店か。

さて、今までの著書が、印刷屋にとっての避けられない変化、しかし、その先は決して暗くはない...という論調でしたが、本書の"終章 それで、どうする?"では、著者は"産業としての「本」は終わっている..."と言い切っています。もちろん、当事者としては黙って見過ごす訳にはいきません。そこで、インターネット時代の"本"、そして"印刷屋"の進むべき道について考察しています。

中西印刷株式会社



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