繰返し(4) 繰返しの入れ子

繰返し（４）

例題5.4

1. 繰返しの入れ子
if文と同様に，繰返しを入れ子にすることができます。

例として，次のような掛け算の九九の表を出力するプログラムを考えてみましょう。

これは

　　まず，1*1，1*2，1*3，...，1*9 を計算して，最初の行に出力する

　　次に，2*1，2*2，2*3，..，2*9 を計算して，次の行に出力する

　　　　・・・

　　最後に，9*1，9*2，9*3，..，9*9 を計算して，最後の行に出力する

のようになるでしょう。

最初の行を繰返しで出力するものは

　　for ( j = 1；　j <= 9；　j++ ) printf("%d", 1 * j ) ；

となります。 2行目を出力するには， 1 * j が 2 * j となり，

　　for ( j = 1；　j <= 9；　j++ ) printf("%d", 2 * j ) ；

となります。以降，3 * j，...，9 * j となります。

一般に i 行目を出力するものは

　　for ( j = 1 ；　j <= 9 ；　j++ ) printf("%d", i * j ) ；

となります。これを i = 1，i = 2，...，i = 9 として繰り返し実行すれば九九の計算ができます。

つまり，

　　for ( i = 1 ；　i <= 9 ；　i++ )
　　　　for ( j = 1 ；　j <= 9 ；　j++ ) printf("%d", i * j ) ；

となり，for文で繰り返す文が for文になる繰返しの入れ子ということになります。

ただし，これでは表になりません。そこで，1行分出力するごとに改行します（実行結果）。さらに表の行と列が揃うようにしたものが次のプログラムです。

　 1: #include <stdio.h>
　 2: main()
　 3: {
　 4: 　int i, j ;
　 5:
　 6: 　for ( i = 1 ;　i <= 9 ;　i++ ) {
　 7: 　　for ( j = 1 ;　j <= 9 ;　j++ )　printf("%3d", i * j ) ;
　 8: 　　printf("\n")　;
　 9: 　}
　10: ｝

行番号6の for文で繰り返すものは，行番号7と8です。そして，行番号7がまた for文による繰返しになっているのです。つまり，

　i = 1 として，j を 1 から 9 まで 1 すつ増やしながら printf("3d", i * j ) を繰り返し実行し，改行する。
　次に i = 2 として， j を 1 から 9 まで 1 すつ増やしながら printf("3d", i * j ) を繰り返し実行し，改行する。
　(以下、省略）

この例は for文の繰返しの中にまた for文の繰返しがありましたが，中にあるものが別の種類の繰返しであってもかまいません（この例で，中にwhile文の繰返しがあってもかまわない）。

参考
上のプログラムを while 文で記述したプログラムです。

2. 繰返しの途中終了
繰返しを終了させる条件は while なり for で指定されています。場合により，それ以外の条件で繰返しを終了させたいことがあります。そのようなときに break文を使います。

例えば，野球の試合のコールドゲームを考えてみます。つまり，9回行うことになっているのですが，途中である点差がついたら，そこで試合終了になります。

　for ( i = 1 ;　i <= 9 ;　i++) {
　　・・・
　　if ( 決められた点差がついた ) break ;
　　・・・
　}

このように，繰り返す文の中で break文を実行すると繰返しが終了します。

なお，繰返しの入れ子の中で break文を実行すると，それを含む最も内側の繰返しが終了します。

3. 例題5.4
教科書参照

素数（prime mumber）とは，1 とその数自身以外の整数では割り切れない数のことです。

例
　5 は，1 と 5 だけで割り切れるので素数
　6 は，1 と 6 以外に，2 と 3 で割り切れるので素数ではない

整数 n が素数であるかどうかは，n を 2 から n-1 まで整数で順に割り，割り切れるものがあるかどうかで分かります。

つまり，i を整数型の変数として，
　　i を 2 から n-1 まで 1 ずつ増やしながら，次を繰り返す
　　　n を i で割った余りが 0 であったら，繰返しを終了する（途中で終了）

　　繰返しが途中で終了しなかったときは，n は素数である

となります。このプログラムは以下のものとなります。

この for 文は，i が n-1 のときに最後の繰返しの文を実行し，i が n となって終了することに注意してください。

つまり，for 文の次で，i が n ならば，終わりまで繰り返したことになります（つまり，n が素数である）。

実行結果

教科書の例題のプログラムとしては，このプログラムの n を読み込まずに， 2 から Max まで 1 ずつ増やしながら，繰り返すものとなります（繰返しが２重になる）。

実は，素数であるかどうかは，2 から平方根 n まで割れば分かります（つまり，上のプログラムでは，ムダな繰返しを行う）。教科書では，そのようなプログラムとなっています。

4. 演習
掛け算では，２つの演算数（被乗数と乗数）を入れ替えても結果は同じになります。そこで，次のように九九の表の半分だけを求めることにします。

a) このような表を出力する break文を使ったプログラムを作成しなさい。

b) このような表を出力する break文を使わないプログラムを作成しなさい。

ヒント

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